カナダ東岸に位置するニューファンドランド島で、古くから漁師の手伝いや救助をする大型の漁業犬が発展した。
溺れた人間を岸まで運ぶ事のできる体力、長距離を泳ぐ事のできる肺機能、氷の海で体温の低下を防ぐ厚い被毛など、過酷な気候下で漁師の仕事を助ける作業ができる大型犬が作出されたのである。
船から船へロープを渡す作業、ボートや積み荷、網を引く作業など、水中での使役を目的として発展して来た。
ニューファンドランド島名がそのまま犬種名となっている。
この犬種の正確な由来は不詳であるが、ニューファンドランド島近海は世界有数の魚礁で、旧イギリス領だったため船の往来によって複数のヨーロッパ犬種が移入され、この島の土着犬やバイキングの犬との混血によって現在のニューファンドランド犬が形成されたと考えるのが妥当である。
水中作業を得意としたポーチュギース・ウォータードッグ、グレート・ピレニーズなど移入犬種が関与した事は明らかであるが、ニューファンドランド島在来の犬の本質と習性は失っていないと言われている。
セント・バーナードが山岳地の救助犬と呼ばれるのに対し、ニューファンドランドは海の救助犬と言われる。
セント・バーナードと同じ働きをする犬種は他にもいるが、海の救助犬はニューファンドランド以外にはない。
ニューファンドランドは大型犬でありながら非常に泳ぎが達者で、人が水中に落ちた時は、本能的に飛び込み救助すると言う知性をもつ。
溺れた船乗りを救助したり、高い波の中を航行中に岩礁の接近を知らせたりと、人命を救った多くの実績とエピソードが伝わっている。
現在でもニューファンドランドは海難救助犬として活躍しており、大型タンカーの甲板上で見かける事がある。
ニューファンドランドは被毛色がブラックとホワイトのものを特に「ランドシーア」と呼ぶ。
エドウィン・ランドシーアとは動物画家の名前で、ブラック&ホワイトのニューファンドランドが人を救助する場合など、この犬種を好んで描いている。
ランドシーアはニューファンドランドの「標準」が黒一色と定められた当時以前からマーキングの入ったニューファンドランドとして存在しており、熱心なブリーダーによって保存されてきた。
ランドシーアは単色のニューファンドランドよりもやや体高が高く、体重は少なめとなる傾向がある。
イギリス(KC)やアメリカ(AKC)は、ランドシーアをニューファンドランドのカラーバリエーションとして扱っているが、他の畜犬団体ではランドシーアを別の犬種として分類している。
ニューファンドランドは18世紀前後にイギリスに渡り計画繁殖され、現在では原産地の犬でさえイギリス血統のものが主流となっている。
ニューファンドランドの指趾は大きく、指間に水かき状の膜があり、湿地や砂地を歩いたり、泳ぐ事に適している。
ニューファンドランドの性格はきわめて温厚、人に忠実、子供にも友好的である事が知られており、欧米を中心に伴侶犬として高い人気を維持している。
巨大な体格と「よだれ」を別にすれば、家庭犬に望まれるすべての資質を備えた犬である。
原産国 | カナダ |
分類 | ワーキング (AKC) ワーキング(KC 第2グループ(JKC) |
体高 | ♂約71cm ♀約66cm |
体重 | ♂64~68kg ♀50~55kg |