レオンベルガー

19世紀のヨーロッパでは犬の改良作出活動が盛んで、とりわけドイツではこの時期に多くの新犬種が生まれている。
レオンベルガーは1846年ドイツで作出された比較的歴史の新しい犬種である。
サン・ベルナール修道院由来のセント・バーナード牡とニュー・ファウンドランドの牝(ランドシーア)が基礎犬となっており、体形、性格ともに両犬の特徴を受け継いでいる。
理想的な被毛を求めてグレート・ピレニーズやスイス牧羊犬、クーバースなどとの混血も行われた。
レオンベルガーが古代マスティフの子孫であるとする説もあったが、現在は否定的である。

レオンベルガーはニュー・ファウンドランドの資質を受け継ぎ本能的に水を恐れず、指の間の皮膚が水かき状に発達していて水泳が得意で水難救助犬としての能力が抜きん出ている。
頭部はセント・バーナードの雰囲気をもち、毛質はニュー・ファウンドランドに近い。
レオンベルガーは基礎犬となった両犬よりも機敏でややスマート、性格は両犬同様穏やかである。

犬名はレオンベルガーを作出したドイツ人愛犬家ハインリッヒ・エスィヒ氏が、現在のシュツットガルト近郊レオンベルグに住んでいた事に由来している。
レオンベルガーの作出の目的は当時ドイツ帝国の都市の紋章に好んで使用されたライオンに似た犬を作る事にあったと伝わっており、レオンベルガーの金色の被毛は偶然の産物ではないようだ。

レオンベルガーは1907年にイギリスに紹介された際、単なるセント・バーナードとニュー・ファウンドランドの雑種であるとして無視され、悪評を被った事がある。
そもそも「新犬種」と「雑種」の境い目について確固たる定義を定めるのは困難で、各国の犬種団体が「新犬種」を公認するか否かは、団体の裁量の範囲内にある。
レオンベルガーは現在世界最大の犬種団体であるAKCが公認していない。

レオンベルガーは威厳ある風貌が好まれ、一時期ヨーロッパの宮廷で飼育され、女帝の寵愛を受けた歴史もあるが、他の大型犬種と同様に第二次大戦中に数が激減し絶滅の危機を迎えた。
戦後母国のドイツ、イギリスで熱心に繁殖されるようになり、19世紀の終わりには牧畜犬としての能力が高く評価された。
近年になってヨーロッパ以外の国でも知名度が高くなっている。

めったに吠えないため番犬としては不向きと言われるが、優秀な家庭犬として人気が高まっている。
レオンベルガーは大きく、力強く、優美な犬である。
主人に忠実で温和、子供に対しては優しく愛情豊かである。

原産国ドイツ
分類未公認(AKC)
ワーキング(KC) 
第2グループ(JKC)
体高♂51~63cm
♀51~63cm
体重♂72~80cm
♀65~75cm