ノバ・スコシア・ダック・トーリング・リトリバー

スポーティング・ドッグは、獲物を探索しハンターに獲物の所在を知らせるストップ犬と、ハンターの射撃により落ちた獲物を回収する運搬犬に分けられるが、ノバ・スコシア・ダック・トーリング・リトリバーは撃ち落とされた獲物を回収する役割に加え、銃でハンターが獲物を仕留める事ができる距離まで水鳥をおびき寄せる仕事をする。

狩猟民族にとってカモは主要なターゲットである。
カモは好奇心旺盛な鳥で、水面で物が跳ねたり波立ったりすると餌になるものかどうか確かめにくる。
この習性を利用してハンターは自らは物陰に隠れ、木の枝やボールを海岸線近くに投げて沖合にいるカモをおびき寄せ撃ち落とす猟法がある。
ノバ・スコシア・ダック・トーリング・リトリバーは、猟師が投げた木の枝やボールを追いかけたり、飛び跳ねたり、飾り毛豊富な尾を振ったりとふざけた動作をし、カモの好奇心を刺激する。
そもそもこの手法はカモを狙うキツネが行う動作を真似たものである。
カモが寄ってきたら犬はハンターと共に隠れ、寄ってこなかったら犬は投げた物を回収するのである。
犬種名の「トーリング」とは当時の言語「tollen・おびき寄せる」に由来する。

ノバ・スコシア・ダック・トーリング・リトリバーは19世紀初期にカナダで作出された。
イギリスからの移民と共に、本国で「おとり犬」と呼ばれていたカモをおびき寄せて網に入れる事が得意だったレッド・デコイ・ドッグがカナダに渡った。
レッド・デコイ・ドッグはカナダのノバ・スコシア半島に定着し、スパニエル、リトリバー、セッターなどと混血が行われたと考えられる。
やがてリトル・リバー・ダック・ドッグとして猟芸が注目されるようになり、選択改良が加えられて1945年にカナダのケネルクラブに公認された。
アメリカには1960年代に伝えられ、イギリスには1988年に紹介された。
AKCは150番目の犬種として公認している。
ヨーロッパ、オーストラリア、カナダ、アメリカ全土で実猟に用いられている。

ノバ・スコシア・ダック・トーリング・リトリバーは水中作業を容易にする優れた水掻きをもっており、極寒の海水にも耐える。
合図を出されると即行動に移す集中力と俊敏性がある。
訓練し易く、家庭犬にも好適である。

原産国カナダ
分類スポーティング(AKC) 
ガンドッグ(KC)
第8グループ(JKC)
体高♂45.7~53.3cm
♀43.2~50.8cm
体重