ビズラ

1000年以上も前、中央アジアの遊牧民マジャール民族が現在のハンガリーに定住したとされる頃、彼等が野鳥や小動物のハンターとして飼育していた土着犬種がビズラの始祖犬と考えられる。
古いタイプのハウンド種とトルコの黄色被毛の犬種の混血種であるとの説が有力である。
後にイギリス、ドイツのポインターの影響を受け洗練され、ハンガリアン・ポインター、イエロー・ポインターと呼ばれるようになった。
イギリスではハンガリアン・ビズラが正式名。
ハンガリーは中部ヨーロッパの穀倉地帯で、必然的に鳥類、小動物の狩猟が盛んとなり、これに適した猟犬が飼育されて来た。
一般に農業国では、猟は害獣の駆除や食糧調達を目的とした作業であり、スポーツではない。
ビズラはポインター類の中では小型で、起伏の少ない農業、牧畜地帯での猟に適しており、リトリーブ作業も兼務する有能な働き手として長期にわたり、役立って来た。
自然か、意図的か、この犬種を積極的に「改良」する動きもなく、結果的に、古いタイプの犬が体形や性能をほとんど変化させることなく現代に受け継がれることになった。
ビズラがハンガリー唯一の鳥猟犬として今日まで存続した背景を考える時、同国の地形による影響は大きい。
ハンガリーの国土は多くが平原で、農業、牧畜が盛んで、特に穀物栽培に適している。
これらの地域には季節ごとに多品種の鳥類が集まり、ウサギなどの小動物も大量発生する。
このような地で求められる猟犬は、忍耐強い走力と優れた嗅覚、獲物に気付かれず近付く注意深さである。
ビズラはこれらの作業に一級の能力を発揮し、加えて主人に忠実、かつ良き家庭犬でもあった。
ハンガリーの国事情から、第一次大戦の終わり頃にはビズラは絶滅寸前にまで数が減っていたが厚志家により細々と繁殖が続けられた。
その後1945年、ロシアの侵攻を受けたハンガリーは、ビズラをドイツ、オーストリア、イタリア、チェコ、トルコなどヨーロッパの国々に避難させている。
米国への輸出は1950年代の記録がある。
これ以後、ハンガリーを代表する当犬種は主として国外で育種が続けられることになる。


ビズラは多くがショートヘアーであるが、カナダなどの森林地域で実猟に使用される例ではワイヤーヘアーが好まれる。
ハンガリーではワイヤーヘアーのものをドロスゾール・ビズラと呼び、イギリスでは、ショートヘアーとワイヤーヘアーを別犬種としている。
ビズラは猟犬でありながら他犬や人に対する攻撃性が低く、無駄吠えも少なく、温和で、家庭犬に求められる多くの特性を持っており特に北米での人気が高い。
被毛色はゴールデン・ラストの単色、又はマホガニー・レッドで、ライト・イエローは許容されるが望ましくない。
黒色の毛がエリアとして目立つものは重大な欠点とする。
胸の小白斑は許容されるが、大きなものや他の位置の白斑は不可とする。

原産国ハンガリー
分類スポーティング(AKC) 
ガンドッグ(KC)
第7グループ(JKC)
体高♂53~61cm
♀53~61cm
体重♂18~27kg
♀18~27kg