ブリアードは古い歴史をもつ使役犬種であるが、その起源については不明な点が多い。
8世紀頃のタピストリーにブリアードとサイズや容姿が一致する犬が描かれており、12世紀の書物にはブリアードと思われる犬種の記事がある。
しかしブリアードとしての正確な記録は14世紀以降の物に限られる。
チーズで名高いフランスのブリー地方が原産地で、古くから番犬や牧羊犬、特に狼などの害獣から家畜を守るために飼育されていたようである。
犬種名の「ブリアード」はブリー地方の牧羊犬の意と解釈されているが、この名称は近世になってからのもので、もともとはこの地方の雑多な犬を総称する「野の犬」と呼ばれていた。
シャルル5世の腹心だったオーブリー公が暗殺された事件で、オーブリー公の愛犬が暗殺者を捕えたと言われる故事により、この犬種が「オーブリーの犬」ブリアードと呼ばれるようになったとする説も健在である。
フランス革命を境にフランス北部の牧場地帯が耕地に変わり、ブリアードは市街地でも飼育されるようになり、やがてフランスを代表する家庭犬としての地位を得た。
相次ぐ大戦下、ブリアードは軍用犬として見張りやパトロール、物資輸送の任務に服し、大部分の犬が犠牲になった。
戦後、数年の空白期があったものの、厚志家の努力により復活を果した。
ブリアードは彼らが歩んだ道のりとは逆に市街地よりも牧場地帯を好み、彼らが活躍した戦場よりも平和を好む犬であった。
ブリアードは「毛皮に包まれた心」と形容される事があるほど忠実で人類の良き友となる犬である。
ブリアードは訓練のしやすい犬とは言えないが、縄張り意識が強く、一度覚えた事は決して忘れない犬である。
ブリアードはいかなる仕事も忍耐強くやり抜き、質素で合理的なフランス人の生活に深く永くかかわってきた。
ブリアードは誰れにでもなつく特質が顕著であるため、飼い主はことさら時間をかけて深く愛情を注ぐ必要がある。
ブリアードの訓練は幼犬時から開始すべきである。
1970年代にブリアードの繁殖系統による性格の偏りが問題視された事があるが、今日では改善されている。
顔に長く垂れ下がった被毛や風貌がオールド・イングリッシュ・シープドッグに似ている。
フランス系牧羊犬種に共通の特徴であるが、ブリアードの犬種標準では後肢に各2本の狼爪が必要とされており、1本の場合には失格となる。
フランスでは断耳をして半直立耳にする事が多い。
原産国 | フランス |
分類 | ハーディング(AKC) パストラル(KC) 第1グループ(JKC) |
体高 | ♂58.4~68.6cm ♀55.9~64.8cm |
体重 |