ビーグルは15世紀頃のイギリスで盛んにウサギ狩りに使用されていたハウンド種の中で最も小さい犬である。ブラッド・ハウンドなどイギリスのハウンドの血を引いており、ハリアの影響が強く外貌に現れている。
ビーグルはヨーロッパの多くの国でウサギ狩りのための猟犬として盛んに飼育された。
当時のウサギ猟は数十頭のビーグルを一斉に放して、嗅覚を頼りに足跡を追跡し、隠れているウサギを見つけ出し、追わせる方法がとられた。
17世紀に入ると集団のビーグルを制御するためにホルンを吹き鳴らして猟が行われるようになった。
ホルンの音色、強弱、長短によって「前進」「待て」「後退」などの指示が出され、ビーグルはそれに従った。現在の犬笛の原理に通じている。
獲物を発見し、追跡する際のビーグルの鳴き声は特徴的で、この声に他のビーグルも呼応して合流し、ウサギを追い詰めて行く。
この際のビーグルの発する声によって同犬を「フィールドの声楽家」「シンギング・ビーグル」と称す事もある。
ウサギはビーグルの追跡をかわすために、岩から岩へ跳ぶ、急角度で曲がる、引き返す、沢を渡るなど、臭いを中断させるさまざまなトリックを仕掛ける。
ビーグルがこの臭いの中断部分のトリックを見破りながら追跡(ゲーム)を続けるところにウサギ猟の醍醐味があると言われる。
ビーグルは他の猟犬と異なり、集団で猟に使う事が普通である。
これらの経歴を持つためか、ビーグルは集団飼育になじむ犬種でもある。
生理的安定度が高く、多産で、個体差が少ないなど実験動物として都合の良い条件を備えているため医学実験に貢献してきた事でも知られ、製薬会社などで大量に飼育されている。
ビーグルの名はフランス語のbeigle(小さい)が訛ったものと言われている。
ビーグルはウサギ狩り猟が一般的なスポーツではなくなった現在でも、世界各国で飼育され、最もポピュラーなペット犬として人気が高い。
アメリカでも爆発的な人気を得た犬種で、実猟向きと家庭犬向きの2系統に分離して計画的な繁殖が続けられてきた。
ビーグル系の犬種は大きさや外貌が国によって異なるため、サイズにより分類し、別犬種としている例が多い。
アメリカではビーグルのサイズを13インチと15インチに区別して扱い、オーバーサイズは望ましくないされる。
アメリカでは15インチをビーグルの体高の上限としているが、イギリスでは16インチとしている。
ビーグルは1頭1頭の個体としての評価の他に、群(集団)としての評価が伝統的な形で行われている。
つまりビーグル本来の役務である集団による猟性能の維持を目的としたもので、1集団の犬は体高や体重、毛色にばらつきが無い事や、集団が統率のとれた行動を行ない、指揮者の命令に素早く従う事などを採点する。
この競技会に出場するためには、黒のベルベット帽、緑のコート、白の半ズボンなど指揮者の服装にも伝統的な決まりがある。
原産国 | イギリス |
分類 | ハウンド(AKC) ハウンド(KC) 第6グループ(JKC) |
体高 | ♂33cm未満(13インチ) ♀33~38.1cm(15インチ) |
体重 |