グレー・ハウンドは、その速さは「閃光」、優雅さは「燕」、賢さは「ソロモン王」に例えられてきた犬で、細身の筋肉質、無駄な肉がなく、スピード感に溢れた犬種である。
犬名の由来は毛色のグレー(灰色)からと言う説、グレイト(偉大)であると言う説、グリーク・ハウンド(ギリシャの犬)が転訛したとの説などがある。
ドイツでは「風の犬」とも呼ばれる。
グレー・ハウンドの歴史はきわめて古く、エジプトの5,000年以前の遺跡の壁画や彫刻にその原形が見られる。
もともとエジプトの砂漠地帯でウサギ狩りに使用されていた。
エジプトでグレー・ハウンドの飼育が許されたのは支配者階級のみであったと言われている。
エジプトからギリシャ、ローマを経てヨーロッパに渡り、狩猟(追跡)能力が注目されて鹿狩りなどの獣猟犬として盛んに飼育されるようになる。
紀元前後のギリシャやローマの文献によっても、当時の個体が現在のタイプと大きな相違が無いことが分かっている。
イギリスには少なくとも9世紀以前に渡っており、数々の文献、絵画、法規にグレー・ハウンドの名が現れる。
グレー・ハウンドは古代タイプの犬として動物学上も重要で、多くの獣猟犬の改良に際し血統上の影響を与え、いわゆるグレー・ハウンドタイプ犬種群の起源となる犬種である。
グレー・ハウンドは全犬種の中で最も足が速く、時速60km以上のスピードを誇り、その歩幅は5.4mに達する。
16世紀にイギリスでウサギを追う競技が始まり、グレー・ハウンドが使用されて以降、グレー・ハウンドはドッグレースに欠くことのできない犬種となって行く。
同じ頃、グレー・ハウンドはスペイン人探検家の手によりマスティフとともにアメリカ大陸に渡っている。
アメリカでは機械仕掛けのおとりが発明され、グレー・ハウンドによるドッグレースがますます盛んになって現在に至っている。
近年、世界的に動物愛護の気運が高まり、ドッグレースを引退した(見捨てられた)グレー・ハウンドを終生飼育するボランティアを捜す活動が国境を越えて行われている。
グレー・ハウンドは現在ではドッグレース用と、ショー用2つのタイプに分かれつつあり、ショー用タイプはやや大型である。
家庭犬としてのグレー・ハウンドは温和で従順、闘争心は強いが人に対しては穏やかである。
飼育に困難な点はないが、動くものを追う本能は際立ったものがある。
原産国 | エジプト |
分類 | ハウンド(AKC) ハウンド(KC) 第10グループ(JKC) |
体高 | ♂71~76cm ♀68~71cm |
体重 | ♂27~32kg ♀27~32kg |