ボストン・テリア

ボストン・テリアは数少ないアメリカ原産の代表的犬種で、犬種名はボストン市を中心に作出された事に由来する。
イギリスからアメリカに輸入されたブルドッグとイングリッシュ・テリア、さらに地元の闘犬種との混血によって1880年代に作出されたものである。
もともと闘犬種として作出されたが幸いにも闘犬が盛んな時代が終り、愛玩犬に改良される事になった。
血統の中に潜在する闘犬種の特質を排除する事に苦心をして改良された経緯がある。
ボストン・テリアの作出当初は大型で20kg以上あったが、小型化するために相当の努力がなされた。
小型になるに従い性格が温和になって行ったと言われている。

ボストン・テリアの成り立ちの経緯は単純で明確である。
近代のボストン・テリアの基となった犬は飼育者も犬名も明らかである。
「ジャッジ」と「ジップ」の交配により「エフ」が生まれた。
「エフ」は「ケイト」と交配された。
何と、あらゆるボストン・テリアはこの4頭に由来すると言う。
つまり、ボストン・テリアのすべてが「ジャッジ」の子孫にあたり、相当な近親交配が繰り返された結果生まれたのが現代のボストン・テリアである。
基犬となった「ジャッジ」の特性は近代ボストン・テリアに顕著に現れていると言われる。
「ジャッジ」はブルドッグとイングリッシュ・テリアの交配種であった。

ボストン・テリアはあまりにも短期間に作出された犬種であるため、犬種クラブやAKCもこの犬種の将来に疑問を持ち、公認には慎重であった。
短期作出の弊害を解消するために必要な相応の期間に、相当の努力がはらわれ、1893年AKCが公認するに至った。
世界的に知られるようになったのは1920年代に入ってからである。

タキシードを着た紳士のような黒地に白の斑(ボストンカラー)と断耳された直立耳がアメリカ人の好みに合い、過去、現在を通じ、アメリカ国内では特別に高い人気を維持している。
タキシードスタイルのアメリカ紳士のイメージが重要視されるため、被毛色に占めるホワイトの割合が問題になる犬種で、ホワイトの部分の多いものや左右対称でないものは好まれない。

近代ボストン・テリアは性格的にはブルドッグよりもテリアの快活さが目立つ。
ボストン・テリアは15ポンドと20ポンドを境に3つのサイズに分類される。
小型のものは愛玩犬、大型のものは番犬に向くが、近年は小型のものに人気が高い。
一見ミニチュアのボクサーと言えそうな犬種である。
犬名にテリアと付くが分類はノン・スポーティングである。

原産国アメリカ
分類ノン・スポーティング(AKC)
ユーティリティ(KC)
第9グループ(JKC)
体高
体重小型 6.8kg未満
中型 6.8~9.1kg
大型 9.1~11.4kg