ラブラドール・リトリバーの原産地は、カナダのニューファンドランド、セントジョーンズ地方と言われているが、そもそもの始祖犬はイギリスから北欧の漁船に乗ってカナダに運ばれたものとされており、後年イギリスに逆輸入された事になる。
ニューファンドランドでは、大型のニューファンドランド犬と区別するため、スモール・ウォーター・ドッグと呼ばれていた。
スモール・ウォーター・ドッグは水鳥の回収犬として訓練されていたが、海岸では流された漁網を捜索したり、漁網の浮きを漁師の手元まで運ぶ仕事をこなしていたと言われ、きわめて泳ぎが達者である。
カナダの商人がイングランドのプールという港に着いた時に、スモール・ウォーター・ドッグを連れており、これを地元の貴族が買い上げて改良したものが後のラブラドール・レトリバーだと言われている。
スモール・ウォーター・ドッグの密生した短毛は水中での作業に適しており、毛質を保全した改良が続けられた。その後、カナダが犬に高額の税を課した事や、イギリスの検疫制度によってカナダからの犬の移入がストップした結果、イギリスで独自の犬種として固定されて行く事になる。
この過程で異種のリトリバーとの混血が盛んに行われたが、スモール・ウォーター・ドッグ本来の特徴を維持した2頭の系統のみを正統とし、イギリス国内で犬種標準を設けて保護した。
イギリスでは凍った水上に落ちた野鴨の回収で活躍し、フィールド・トライアルでなくてはならない犬種となって行く。
KCは1903年、ラブラドール・リトリバーを承認。イギリスからアメリカに渡ったラブラドール・リトリバーを1917年にAKCが承認している。
現在ラブラドール・リトリバーは鳥猟犬としてよりも、卓越した訓練性能のゆえに、警察犬や盲導犬、麻薬捜査犬などとして社会に役立っている。
性格穏和な使役犬で、鼻を使っての捜索作業は素晴らしい。
服従心も抜群で、シェパード犬に匹敵する訓練性能を有す。
しかし、性格がきわめて穏和であるため、絶対強制訓練には不向きで、番犬、ガードドッグには適さない。
猟犬種としての高い資質が、家庭犬に要求される諸条件を見事に満たしている犬種である。
無駄吠え、攻撃性、反抗性が共に低く、女性、子供でも充分に扱える家庭向きで丈夫な犬種である。
体格は大きいが室内で飼育される例が多い。
毛色はブラック、チョコレート、イエローなど、全身単色毛でなくてはならないが胸の小白斑は許容される。
原産地である英国内での人気は不動で、数年来、出産頭数で1位を堅持している。
米国内でも2位に3倍近くの差をつけて絶対的な首位にある。
現在、世界で最も飼育頭数の多い犬種と推定される。
原産国 | イギリス |
分類 | スポーティング(AKC) ガンドッグ(KC) 第8グループ(JKC) |
体高 | ♂55~62cm ♀55~62cm |
体重 | ♂25~35kg ♀25~30kg |