オーストラリアにはテリアの変種と言われる犬が2種あり、オーストラリアン・テリアとシルキー・テリアがそれである。
シルキー・テリアは19世紀の終りにオーストラリアで作出された小型テリアで、外貌はヨークシャー・テリアに似ており、サイズは少し大きく、被毛はヨークシャー・テリアほど長くない。
イギリスからの移住民がさまざまな犬種をオーストラリアに持ち込んだが、その内ヨークシャー・テリア、スカイ・テリアと現地のオーストラリアン・テリアとの混血によって作出されたのがシルキー・テリアである。
オーストラリアン・テリアそのものが「合成テリア」と呼ばれ、ヨークシャー・テリアとケアーン・テリアに由来する事から、シルキー・テリアはイギリスのテリアの混血によって生まれたと言って良い。
そもそもシルキー・テリアはオーストラリアン・テリアの毛質を改良しようとしたブリーダーが、イギリスから新たに輸入したヨークシャー・テリアとの混血を試みた事が発端となって生まれた。
この改良段階では、オーストラリアン・テリア、ヨークシャー・テリア、後のシルキー・テリアが明らかに混在しており、紆余曲折があって1932年にこの3犬種の交配が禁止されるまで統一したスタンダードはなかった。
シルキー・テリアはオーストラリアの東南部シドニー港を中心に飼育されて来た事により、シドニー・テリアやシドニー・シルキーの異名を持つ。
交易ルート上のニュージーランドでも知名度が高い犬である。
1950年代にアメリカを経てヨーロッパに紹介された。
戦後、交易によって日本にも紹介されたが、ヨークシャー・テリアと混同された経緯がある。
サイズ、キャラクターともに家庭犬向きの「トイ・テリア」であり、オーストラリアはもちろん北米で人気が高い。
オーストラリアン・テリアがシルキー・テリアの祖先にあたる事は前述の経緯で明らかであるが、現オーストラリアでは両犬種が対等に共存している。
小型テリアとして共通点の多い両犬種は、必然的に被毛の長さと毛質によって区別されている。
このため両犬種のスタンダードでは被毛についての記述が多い。
犬質の評価に際しても特に被毛が重視されるいきさつがある。
1955年、それまでのシドニー・シルキー・テリアの名称がオーストラリアン・シルキー・テリアと改称され、スタンダードの細部も改められた。
同年、アメリカ国内のシドニー・シルキー・テリア・クラブ・オブ・アメリカが、シルキー・テリア・クラブ・オブ・アメリカと改称した事を受け、AKCは「シルキー・テリア」を公式名称とした。
シルキー・テリアはオーストラリアン・テリアとヨークシャー・テリア2犬種の最も良い資質を受け継いだ犬だと言われる。
シルキー・テリアの被毛は犬名どおり光沢のある絹糸状の直毛で、下毛がないのが特徴である。
さらさらとした被毛は管理がしやすく体臭もない。
ヨークシャー・テリア同様、幼犬時はブラック・アンド・タンの被毛色であるが、成長とともにブルーに変化する。
動作敏捷、好奇心旺盛でネズミの駆除能力は際立っている。
原産国 | オーストラリア |
分類 | トイ(AKC) トイ(KC) 第3グループ(JKC) |
体高 | ♂22.9~25.4cm ♀22.9~25.4cm |
体重 |