プードルは歴史の古い犬種であり、その起源については不明の部分が多いが、ポルトガル、ギリシャ、モロッコ、ロシアなどヨーロッパの各地に分布していたようで、最終的にドイツを経由してフランスに渡り改良固定された。
この後、フランスで一躍人気を博した事からプードルがフランス原産と言われるようになった。フランスで本格的に育種されるまでは色々なタイプのものが混在していたと言われている。
プードルはサイズによりスタンダード、ミニチュア、トイの3種類に分類される。
スタンダード・プードルは泳ぎが得意で、もともと鳥猟犬として飼育され、水鳥猟における回収犬として不可欠な作業犬であった。
古くはシャン・カナール「カモ犬」と呼ばれ、ドイツ語の水猟犬を意味する「プーデル」が犬種名の由来であるとする説が有力である。
スタンダード・プードルは、ロシアで酪農家に於ける荷車曵きとして古くから知られており、大型でブラックの被毛色のものが普通であった。
フランスやイギリスではスタンダード・プードルをサイズダウンする事に熱心なブリーダーが多くなり小型化への道を辿り、ミニチュアを経てトイサイズのプードルが作り出される事になる。
プードルほど見事に小型化され、それぞれのサイズが優秀な能力を発揮する犬種はまれである。
ミニチュア・プードルはその優れた嗅覚によってフランスでトリュフ狩りの名手として名高い。
トイ・プードルはあらゆる犬種の中で最も多芸・多才である。
理解力に優れ、トレーニング性能が高いため旅芸人やサーカス団の主要なメンバーとなっている。
人間を驚かせる多くの知的な「犬の芸」はプードルによってもたらされて来たと言ってよい。
サイズダウンにより犬種の用途も使役犬から愛玩犬へと変化して行った。
18世紀にはプードルはヨーロッパ貴族の寵愛を受ける事となり、フランスを始めとする王族のスリーブドッグ(袖犬)として注目を集めた。
19世紀に入ると愛玩犬として大衆化する。
スタンダード・プードルは本来リトリバーであり、独特の被毛のカット手法も水中作業に適した被毛の処理に由来するものである。
水中での作業を容易にし、水から出た後の被毛の乾燥を早くするために独特の刈り込みが考案された。(ポルトガルの水猟犬に行われていたものに習ったと言われている)
冷水中で体温の消耗を防ぎ、心臓や肺を守るために胸部の被毛を厚く残し、推進力を高めるためと関節部の保護のために肢部に球状の被毛を残した。
ポンポンと呼ばれる尾先の毛を残す事により、水泳中でも尾先が沈む事がなく、プードルの所在を知るための旗印となり、所有者ごとにポンポンの形を変えて目印にしたとも言われている。
猟犬から家庭犬への変換過程で被毛の刈り込み手法も装飾的なものに変わって来たが、近年盛んなペット犬のトリミング技法の発祥は、水猟犬として活躍したスタンダード・プードルに由来するものである。
ドッグショーに出陳するためには規定の(パピー、イングリッシュ・サドル、コンチネンタル)型にクリップする事が要求される。
プードルは季節による換毛が見られないため飼育環境を汚す事がなく、体臭も少なく(被毛に艶のない犬種は体臭が少ない)アレルギー体質の人でも飼育できる犬種として近年再評価されている。
どの犬種にも言える事であるが、同犬種でサイズのバラエティがある場合には小型になるほど繊細(神経質)になって行く。
スタンダード・プードルはトイやミニチュアに比べ、落ち着きがあり、洞察力に優れ、堂々として威厳すらある。
均整のとれた方形の体構(スクェアタイプ)に豊富な被毛を生かしたプードル独特のクリップで優雅さと知性を一層高める事ができる。
被毛色は単色で、断尾される。
原産国 | フランス |
分類 | ノン・スポーティング(AKC) ユーティリティ(KC) 第9グループ(JKC) |
体高 | ♂38.1cm以上 ♀38.1cm以上 |
体重 |