チャウ・チャウは中国広東省で2000年以上の歴史をもつ土着犬で、形態的にはスピッツの系列に属す犬であり、チベタン・マスティフとサモエドの 交配によって作られたとする説が有力である。
しかし、この犬種だけがもつ舌の色など起源に関する謎は多い。
7世紀、唐の皇帝は2,500組ものチャウ・チャウを獣猟目的で飼育させていたと伝わっている。
チャウ・チャウは口の中や舌がブルー・ブラックであるため地域により「黒舌犬」と呼ばれたり、「熊犬」と呼ばれる事もある。
かつて中国ではチャウ・チャウが食肉用に飼育され、その毛皮は防寒用として用いられた。
近年では番犬、愛玩犬として定着し、猟性能を失っているが、チャウ・ チャウはもともと有能な猟犬であり、北方ではソリ引きにも使役された。
現在の犬種分類が示すとおり、チャウ・チャウは用途でも外貌でも大きく変化を遂げた犬である。
犬名の「チャウ」は中国語でソリの意と言われる説と、東印度会社の船がヨー ロッパにこの犬種を運ぶ際に積み荷の明細を書く時「他の雑多なもの」 として普段から使用されていた用語「チャウ・チャウ」に由来するとする説がある。
チャウ・チャウは18世紀の終わりに東印度会社の船でヨーロッパ に渡り、その特異な風貌により珍重され、世界的に知られる事になる。
つぶれた顔に小さな奥目、小さな立ち耳が付く短胴のスクェアタイプ。
奥目のためか、接近して物を見る習性がある。 体は筋肉質で、開立した非常に厚い2重毛に覆われ、ライオンのような たてが みが勇ましい印象を与える。
チャウ・チャウの尾は日本犬(秋田犬)と同様の太い巻き尾で、日本犬にもブルーの舌斑をもつ個体が見られる事からそのルーツは共通とも言われている。
チャウ・チャウの形態的な特質として、後肢の飛節がほぼ真直ぐであるため歩幅が狭く、竹馬で歩くようなこの犬種独特の歩様が見られる。
チャウ・チャウは無表情で沈着、孤高、警戒心が強く、人見知りしやすい。
飼い主にはきわめて忠実であるが、年少者の居る家庭では適応が難しく、幼犬時からの服従トレーニングは必須。
人の往来の多いような場所での飼育は避けるべきである。
チャウ・チャウは昭和の時代にテレビコマーシャルの影響によって我が国でブームになり、無秩序に増産され、本来繁殖に用いるべきでない犬の子孫が出回る事になった。
特定の犬種が過剰なブームになる事のマイナス面は無視できない。
一般に外見的な形質を重視して取り引きされ、精神的な資質が犠牲にされるのである。
繁殖系統によっては問題点(特に攻撃性)をもつチャウ・チャウがいる事は知っておくべきである。
自分が主人でない限りチャウ・チャウに近づくには注意を要する。
突然接近する事を避け、声をかけ、相手に気づかせ安心させてから近寄るようにしたい。
特に背後から音を立てずに近づいたりすると攻撃される事になる。
チャウ・チャウは奥まった眼の構造上、逆さまつげなど眼のトラブルの発生率が高い。
夏の暑さに弱いため、温暖な地方での飼育には留意点が多い。
原産国 | 中国 |
分類 | ノン・スポーティング(AKC) ユーティリティ(KC) 第5グループ(JKC) |
体高 | ♂50~60cm ♀は♂よりやや小さい |
体重 | ♂25~27kg ♀25~27kg |