アメリカン・ウォーター・スパニエルはアメリカ原産とされる数少ない犬種のひとつで、合衆国ウイスコンシン州の州犬である。
20世紀になってから固定された新しい犬種で「ミシシッピーの鳥猟犬」と呼ばれている。
アメリカン・ウォーター・スパニエルの起源は南北戦争以前までさかのぼる事ができるが、誕生の経緯について正確な情報はない。
アイリッシュ・ウォーター・スパニエルとカーリー・コーテッド・リトリバーの交配種を主体とし、それにオールド・イングリッシュ・ウォーター・スパニエルを含めたものが先祖犬と考えられる。
南カリフォルニアで七面鳥狩りに使用されているボーイキン・スパニエルと近縁であるとする説は信頼できる。
アメリカン・ウォーター・スパニエルは形態的にも能力的にもアイリッシュ・ウォーター・スパニエルやカーリー・コーテッド・リトリバーに似ている。
アメリカン・ウォーター・スパニエルは合衆国北西部、中西部で発達を遂げた。
ミシシッピー河は大西洋から北米内陸を目指す水鳥の通路となっており、鳥猟に適するこの河の上流支流地帯がこの犬種の原産地である。
ヨーロッパからもたらされたこの犬種の先祖達が、湖や沼が点在するアメリカの大地で使役される間に、最も活躍しやすいサイズ、形態と能力が固定されたものである。
アメリカに於ける当時の水禽猟はカヌーやボートにアメリカン・ウォーター・スパニエルを乗せて湿地に入るのが一般的で、当時の銅版画などではボートから銃を構えた猟師や、獲物をくわえて泳ぐアメリカン・ウォーター・スパニエルがしばしば描かれている。
この犬種の系統を考えれば分かるように、アメリカン・ウォーター・スパニエルは水中作業が得意で、鴨猟に最も適した猟犬として改良が続けられて来た。
この犬種の優れた資質は古くからアメリカ各地のハンターに賞賛され、水猟犬としてこれ以上を望めない万能犬と位置づけられている。
アメリカン・ウォーター・スパニエルの嗅覚は際立って優れており、湿地に入って忍耐強く獲物を捜し、獲物を追いつめると尾を振って合図をする。
獲物を水際から飛び立たせ、水面に撃ち落とされた獲物を回収して猟師のところまで運ぶ。
アメリカン・ウォーター・スパニエルは水面に落ちた複数の獲物を瞬時に認識し、水の流れや獲物の状態から、回収すべき順序を合理的に判断する能力を持つと言われている。
水中で傷ついた獲物が逃げると、アメリカン・ウォーター・スパニエルは尾を舵のように使ってアザラシのように泳いで捕まえる。
アメリカン・ウォーター・スパニエルの追跡から逃れられる水鳥はいないとも言われた。
この運搬に際し、獲物に傷を付けないように、優しくくわえるリトリバー種に要求される能力もあわせ持っている。
現在の洗練されたスタイルに固定されたのは1920年代になってからである。
ウェーブか巻き毛の被毛を持ち、知的で有能、忠実で親しみやすい。
毛色が褐色である事からブラウン・ウォーター・スパニエルと呼ばれる事もある。
アメリカン・ウォーター・スパニエルのウェーブ被毛を特に「マルセル」と呼ぶ習慣があるが、マルセルとは連続したウェーブの状態を言う。
フランスのヘアードレッサーの名にちなんだヘアーモードの名称であるが、もちろん犬専用の用語ではない。
原産国 | アメリカ |
分類 | スポーティング(AKC) |
体高 | ♂38.1~45.7cm ♀38.1~45.7cm |
体重 | ♂13.6~20.4kg ♀11.3~18.1kg |