イギリス東南部のサセックス州のブリーダーによって作出された犬種で、地名が犬名となっている。
サセックス・スパニエルは18世紀頃から地元の山岳地帯で鳥猟に使用されていた。
スプリンガーやコッカーのようなスピードはないが、きわめて鋭敏な嗅覚をもつ優秀なハンターで快活で親しみやすい。
この地方は、獲物となる鳥が豊富に生息しており、ハンターは徒歩によって猟を行うのが普通であった。
サセックス・スパニエルの猟性能はまさしく、この地の猟に向いたものであり、必要に応じてリトリバーの役も引き受けるこの犬は地元の猟師に重宝がられていた。
短足であるためスピードは遅いが忍耐強く、樹木の密生した地域での猟に向くと言われる。
鳥類だけではなく、小型獣の猟にも有能な犬種で、薮の中の小動物の追跡ではサセックス・スパニエルに勝るものはないと言われている。
サセックス・スパニエルは他のスパニエルと異なり、追跡に際してよく吠える「追い鳴き」の習性がある。
状況によっては獲物を逃してしまう事になるが、見通しのきかない場所の猟では、ハンターが獲物の方角を知る上で有利だと言われる。
ベテランのハンターはサセックス・スパニエルの「追い鳴き」の音色と調子によって、獲物の種類やサイズ、獲物までの距離も分かると言われている。
ずんぐりとした体形と薮や下草から身を守る密生した被毛に覆われているため、高温多湿の環境には適さない犬種である。
サセックス・スパニエルの被毛色はリッチ・ゴールデン・レバーと呼ばれるこの犬種独特のもので、この色彩がこの犬種の純粋性を証明し得るとまで言われている。
19世紀に入ると、イギリス国内の同様の地形の猟場でサセックス・スパニエルの知名度は高まって行った。
サセックス・スパニエルがアメリカなど海外で普及しなかった理由として、徒歩による狩りの友として培われたスピードの問題があり、環境の異なる土地での猟には適さなかったものと思われる。
だからと言ってサセックス・スパニエルは「山岳銃猟の万能犬」と言う名誉ある地位を他犬に譲り渡す事はない。
サセックス・スパニエルは19世紀の鳥猟犬のキャラクターとスタイルを現代に伝える貴重なスパニエルである。
サセックス・スパニエルはアメリカAKC結成時に公認された最初の10犬種のひとつであったが、その後登録頭数は増えていない。
原産国のイギリスでもポピュラーな犬ではない。
原産国 | イギリス |
分類 | スポーティング(AKC) ガンドッグ(KC) |
体高 | ♂33.0~38.1cm ♀33.0~38.1cm |
体重 | ♂15.9~20.4kg ♀15.9~20.4kg |